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福田首相サミット議長落第…各国首脳から無視され続け
主張すべき米国に過剰配慮

各国首脳に囲まれ、うれしくて仕方がないといった表情をみせる福田首相だが、議長としての指導力は発揮できなかった=8日午後、北海道洞爺湖町(代表撮影)
各国首脳に囲まれ、うれしくて仕方がないといった表情をみせる福田首相だが、議長としての指導力は発揮できなかった=8日午後、北海道洞爺湖町(代表撮影)
 地球温暖化防止や原油・食料価格の高騰などが焦点となった北海道洞爺湖サミットは9日午後、議長の福田康夫首相が会見し、3日間の討議の成果を議長総括として発表して閉幕。8日には主要8カ国(G8)首脳が協議し、各分野に関する宣言が採択されたが、専門家の評価は極めて厳しい。議長として指導力を発揮、政権浮揚につなげたかった福田首相には誤算となったようだ。

 「非常に期待外れだ。(温室効果ガスの排出量を)2050年までに半減するとの長期目標には『合意』せず『共有』という表現にとどめた。日本は議長国としてリーダーシップを発揮できなかった」

 民主党の直嶋正行政調会長は8日の会見で、地球温暖化対策に関する合意について批判した。

 福田政権と対峙する民主党の評価だけに厳しさは当然だが、専門家の評価も同様だ。

 「現状は物価上昇と景気悪化の緊急事態だが、福田首相ら首脳たちからは危機感が感じられない」。明治大教授の高木勝氏は憤る。

 首脳宣言では「世界経済は不確実性に直面し、下振れリスクが依然存在する」と指摘したが、将来の成長力には「引き続き肯定的」と楽観している。

目立った成果を出せないサミットを尻目に、アイヌ民族衣装を着てファーストレディー外交を行う各国首脳夫人たち(左から貴代子夫人、ローリーン加首相夫人、サラ英首相夫人、マルガリーダ欧州委員長夫人)=8日午後、国際メディアセンター(クリックで拡大)
目立った成果を出せないサミットを尻目に、アイヌ民族衣装を着てファーストレディー外交を行う各国首脳夫人たち(左から貴代子夫人、ローリーン加首相夫人、サラ英首相夫人、マルガリーダ欧州委員長夫人)=8日午後、国際メディアセンター(クリックで拡大)
 焦点の原油高について、産油国に増産や生産能力の増強を要請し、消費国も省エネや代替エネルギー開発に取り組むとしたが、原油高騰の要因である投機マネーの直接規制には踏み込めなかった。為替についても、ブッシュ大統領が「強いドルは米国の利益」と表明し、新興国を含めた協調姿勢を打ち出したが、具体策はなかった。

 高木氏は「全般的に米国にずいぶん配慮したという印象」と語る。日本は議長国として米国に主張すべきことを主張していないというのだ。

 「世界経済が急速に悪くなっているのも、原油・食料価格の高騰も、株安、ドル安も出発点はサブプライムローン問題を契機とした米国の金融不安。この解決が求められているのに具体策はない」「無難な形でとりあえずまとめたが、何の変化もないかもしれない」として、高木氏は「点数を付けると50点。赤点の評価だ」と切り捨てる。

 「30点」とさらに厳しいのはクレディ・スイス証券チーフ・エコノミストの白川浩道氏。

 「原油高や商品バブルへの対抗措置として重要なのは米国経済を立ち直らせることだが、懸念を表明するだけでは意味がない。ドル下落や原油・商品上昇の動きは変わらない」。ただ、「もともと期待がなかったので市場へのマイナスのインパクトもそれほどないだろう」と皮肉を込める。

 議長としての福田首相をどう見たのか。白川氏は「米国経済の問題は根が深く、福田さんがサミットでがんばっても良い結果は出なかっただろう」とやや同情的だったが、「日米首脳会談の場で米国経済への協力を打ち出すべきだった。議長国なのに首相は各国首脳に無視されている様子だった。日本の現状を表してはいるが、あまりに情けない」と嘆いた。

 元外務官僚の天木直人氏も手厳しい。

 「(地球温暖化対策で)明確な合意があれば前進だが、これでは同じような議論が繰り返されるだけ。経済に関しても、これまで議論されてきたことと同じ。議長としては、重大問題を短期間に詰め込みすぎたことに大きな失敗があった。議長国として戦略が欠如していたと言わざるをえない。豪勢な食事を取って、食糧問題を論じるのも問題だ。あれでは共感は得られない。粗食を出すとか、パフォーマンスかもしれないが、やるべきだった」

 「今回は、ブッシュ大統領の花道で配慮があった。歴史的な瞬間に日本がもっと貢献できるはずだったと考えると残念だが、最初から首相には限界があって『無事に終わってよかった』となることしか期待していなかった。採点基準が低いので、60点ぐらい」

 サミット議長役をこなし、政権浮揚を狙っていた福田首相。だが、専門家の評価は軒並み冷ややかで、政治評論家の有馬晴海氏も「20点か30点。サミットを契機に支持率を上げ、福田カラーを出して反転攻勢を狙っていたのに相当厳しい。サミット、北京五輪、内閣改造、中国からのパンダレンタルの4点セットで支持率を大幅に上げ、解散・総選挙というプランもありえたが、最初でコケた印象だ。ただ、今は国会が閉じており、成果がなくても民主党に出る幕がない。首相だけがメディアに出ているので、支持率は大幅に上がらないが、少しは上がるだろう」と話している。

ZAKZAK 2008/07/09

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